食卓につくと、まずは今までの、ハンターとしての仕事の話になった。
あまりに危険な橋を渡ってきたゴンの武勇伝に、ミトはみるみる青ざめていったが、
キルアとクラピカがそんなミトを何とかなだめ、
それ以外は穏やかな、家族の食卓だった。
「そういえばキルア君、随分髪が伸びたのね」
「え、ああうん、まあ小さい頃はいつもこれくらい伸ばしてたんだけど」
キルアは、ミトに言われて初めて気がついたというように、咀嚼しながら毛先をいじる。
そんなキルアを見て、ゴンも自身の硬い髪に触れてみた。
「俺も大分伸びてきたなぁ、ミトさん、あとで切ってくれる?」
「いいわよ、キルア君は?」
「んー、どーすっかなぁ、勿体無い気もするけど、やっぱちょっと鬱陶しいな、
んじゃゴンの次にお願いしてもいいっすか?」
「勿論よ、クラピカさんは?今は伸ばしてるところかしら」
確かに、言われてみれば、ロングヘアーとまではいかなくても、
クラピカの髪は以前会ったときと比べて、大分伸びている。
久々の再会に、以前と違う印象を受けたのはその髪のせいでもあったかもしれなかった。
ちょうど肩より下をいくくらいの長さは、ヘアスタイルとしては一番中途半端で、
ミトがそう言ったのもそのせいだろう。
クラピカは、ゴンがしているように自身の髪に触れ、暫し考え込んだ。
「…そうだな、もう伸ばす理由もないし」
「?」
クラピカの瞳が、一瞬、懐かしい記憶の彼方に思いを馳せるように色を失ったのを見て、
キルアとゴンは怪訝そうに首を傾げた。
しかし、そんな二人の様子をよそに、顔をあげたときには、
クラピカの表情はもう、優しげな笑みに変わっていた。
「ああ、私もそろそろ切りたいと思っていたところだったんだ。頼まれてもらえるだろうか」
そう言ったクラピカに、ミトは親しげに微笑んだ。
「勿論よ。でもちょっと勿体無いわね、折角そんなに綺麗なブロンドなのに。
恋人はいないの?男の人はブロンドが好きでしょう、勝手に切ったりしたら怒られない?」
そう言われて、クラピカは少し気まずそうに苦笑して、言った。
「いえ…恋人もいないし、そんなふうに誉めてくれる人もなかなかいないので」
キルアは咄嗟に、テーブルの下でゴンの足を蹴った。
ゴンは、ぎくりとして肩を強張らせ、何度か、何か言いたそうに口をもごもごとさせたが、
やがてがくりと肩を落とし、俯いてしまう。
そんなゴンに、キルアは苛立たしげに大きく溜息をついたが、
ミトはそんな二人のやりとりにまるで気がついていないというように、
ゴンのほうを見て、にんまりと笑った。
「あらゴン、どうする、こんな綺麗な人に恋人がいないんですって、
私、こんな人がゴンのお嫁さんだったら安心だわ。
くじら島には女の子も小さいノウコちゃんくらいしかいないことだし、頑張ってみたら?」
渡りに舟なミトの言葉に、キルアは心の中でガッツポーズをきめた。
ここぞとばかりに、ゴンの脛を爪先で蹴る。
ゴンは予想以上の痛みに、声を上げて顔を顰めた。
が、すぐに取り直し、赤くなって俯いた。
「お…俺なんかじゃ、クラピカとはつり合わないよ」
キルアは内心、そうじゃねーだろ、とがっくり項垂れた。
どうしてそこで、そうだね頑張ってみるよ、とか、
俺もクラピカがお嫁さんだったら嬉しいな、とか、言えないんだろうか。
しょぼくれたような様子のゴンに、クラピカはくすくすと笑って、言った。
「いや、私などでは、ゴンのほうが不足だろう。
聞いたぞ、随分綺麗な女性と交際していたそうじゃないか」
クラピカの言葉に、ミトは仰天して、まあそうなの!と身を乗り出す。
クラピカはクラピカで、ミトがそのことを知らなかったことに仰天していた。
一体どんな人なの、名前は、何歳なの、そんなの聞いてないわよ、
と捲くし立てるミトを苦笑であしらいながら、
今度はゴンがキルアの脛を蹴った。
「勝手にバラさないでよ」
「…クラピカを嫉妬させてみようと思って。ぜんぜんしなかったけど」
キルアも爪先で、執拗に脛を狙ってくる足に応戦しながら、ゴンにだけ聞こえる声で言う。
「………」
「…ごめん、またいらんこと言った」
そんな三人のやりとりを見て、クラピカとゴンの祖母は、途方に暮れたように顔を見合わせた。
どうして…
「ごめんなさい、でもありがとう助かるわ」
ゴンとキルアの散髪のために手が空かなくなったミトのかわりに、
クラピカが祭りの手伝いすると、その役を買って出た。
「いえ、こういうことは結構好きなので。観光がてらに丁度いい」
クラピカは、申し訳なさそうに言うミトに、にっこりと笑って言った。
土地勘がないクラピカに、ゴンの祖母が道案内について行こうとしたが、
クラピカは、ハンター試験会場に向かう船に乗ったときに少し散策したことがあると言い、
一人で行ってしまった。
ゴンは、今更のように不安にかられた。
それはキルアも同じだったようで。
「…どうする、クラピカが港でまたあの男にナンパされてたら」
「…どうしよう。」
「…どうしよう。じゃねーだろ。今からでも間に合う、追いかけろよ」
「で、でも…」
「だーっ!まじイラつく!俺もう知らねーぞ、あの二人がこのまま勢いで結婚しちまっても!」
「そ、それは…」
「あーあ、クラピカは今日は帰ってこないかもなー、朝帰りかなー、
それともこのまま明日の祭りもザックと過ごすのかなー、いいねー青春だねー」
「そういう俺の不安を煽るようなこと言うなよな!」
「だってあながち無いとも限らない話だろーがよ!おめーも俺をイライラさせんなっ!
俺は愛の伝道師かっての!!」
「ちょっと二人とも何騒いでるの!ほら、早く始めるわよ!」
「あっ、ミトさん、俺やっぱり、ちょっと…」
「今!十秒以内に椅子に座ってこれ被りなさい!」
「………」
二人が、結果として余計に散髪で時間を食うはめになっている間に、
クラピカはもう港に着いていた。
もしかしたら、彼がいるかも。
その思いが、クラピカの足取りを急かした。
港は既に、島民と、漁船に乗ってやってきた観光客とで賑わっていた。
肌の色も、髪の色も様々だった。仲間同士つるんで歩いているものもいれば、
恋人同士、あるいは夫婦で手を繋いで歩いている男女もいたし、
一人で港の空気を楽しんでいる者もいた。
中には、若い女性に声をかけている若者の姿もあった。
それを見て、クラピカの胸がずきんと痛んだ。
しかし、よく見れば、ザックとは似ても似つかぬ容姿で、すぐにほっと胸を撫で下ろす。
しかし、その直後にまた、今とは別の胸の高鳴りを覚える。
軽快な足取りで、こちらに走り寄ってくる気配。
―――もう、覚えてしまった。
明らかに浮かれている自分の心に半ば呆れながらも、クラピカは笑顔を湛えて振り返った。
いきなり振り返られて、青年は驚き、その場に一瞬固まった。
しかし、すぐにあの毒気のない笑顔になると、
今度は急がず、ゆっくりとクラピカに歩み寄ってくる。
「まさか、振り返るなんて。よく気付いたね」
「…足音で分かった」
クラピカは、いつもより心なしか高い、
しかし決して媚びるようなものではない声色で言い、笑った。
青年―――ザックは、その笑みを見ただけで、
どうしたら良いかわからなくなったように手わすらをし、
やがて、どこかへ用事なら俺もついて行ってもいいかな、と言った。
クラピカは、勿論、と答えると、二人は歩き出した。
「…ゴン君とキルア君は?」
「ああ、ゴンの実家がこの島にあるのでな、二人ともそこにいる」
「そうなのか、じゃあ君はゴン君に誘われて、ここに来たってわけだね」
少しずつ落ち着きを取り戻したザックは、饒舌になって言った。
「…俺、彼にちょっと悪いことしちゃったみたいだな」
「何?」
「いや、こっちの話だよ」
暫く歩くと、ミトに言われた青果店にたどり着いた。
電話で連絡がいっていたのだろう、恰幅の良い店主らしき男はクラピカの姿を認めると、
おお待ってたよ、と、髭もじゃの顔に親しげな笑みを浮かべ、店の奥から表へ出てきた。
「よろしくお願いします」
「ああ、つっても果物を簡単に切ってもらうだけだから、すぐ終わるさ。
彼氏まで来てくれたとあっちゃあ、またすぐ隣の店にでも借り出されちまうかもな」
げらげらと笑いながらそう言う店主に、クラピカは目を丸くし、隣のザックを見てみた。
彼は、実際の年齢よりも少し幼く見える頬を、赤く染めていた。
予想通り過ぎる反応に、クラピカは思わず、くすりと笑ってしまう。
「すまない、手伝わせてしまうことになってしまった」
「え?あ、ああ!全然構わないよ!」
彼は寧ろ、店主に恋人同士と間違われたことと、
クラピカがそれを否定しなかったことに浮かれて、
そんなことは全く意に介していないようだった。
そんなザックの姿を見て、クラピカは、どことなくゴンに似ているな、と思った。
姿形は、まるで似ていない筈の二人ではあるが。
果物ナイフをオレンジの皮へ、すっと入れながら、ザックはたまにクラピカの顔を盗み見た。
ウィルの言っていたとおり、化粧っけはない。しかし、頬は紅を差したように仄かに桃色がかっていて、
唇はプラムのように赤かった。睫毛も長い。眉や睫毛まで金色なのを見ると、
やはり脱色剤など使っていない、純粋なブロンドらしい。
時折、かきあげる髪の間で、
ルビーらしい耳飾りの宝石が日の光を受けて輝き、ザックの目を射抜いた。
目の前にいるのに、どことなく、遠い存在に感じた。
そう、自分とはまるで違う世界に生きる、手の届かない存在のような―――
クラピカは、その視線に耐えかねて、咎めるように顔を上げた。
ザックは、どきっとした。そのきつい視線に反して、クラピカの口元は笑みの形をしていた。
「こら。何さぼっているんだ」
「あ、ああ…ごめん、つい」
ザックは慌てて、手を動かす。
しかし、目は懲りずに、クラピカの仕草を辿っていた。
顔をあげなくてもザックが見ていることが分かるらしい、
クラピカは苦笑して、もう好きにしろ、と言った。
ザックは、いたずらを許された子供のように笑って、ああ好きにするさ、と言った。
「…綺麗なブロンドだね」
突然、そう言ったザックに、クラピカは思わずナイフを取り落としそうになってしまう。
昼間、ミトに言われた言葉を思い出した。そして、ノストラードにいた頃のことも。
そんなクラピカの様子に気付かないように、ザックは続けた。
「よく誉められるんじゃないのかい?伸ばしたりはしないの?」
クラピカは、少し困惑しながら、ザックの言葉を聞いていた。
ミトの言う通り、男はやはりブロンドが好きなのだろうか、それとも。
自分の周りの物好きたちが、たまたま好きだったというだけなのだろうか。
クラピカは、平静を装って、薄く微笑んだ。
「…そうだな。伸ばしてくれと誰かに頼まれない限りは、短くしている」
そう言い、またオレンジの皮をむき始めたクラピカ。
ザックは、少し意味深な言い方だと思ったが、深く考えないことにした。
「…そっか。それじゃあ俺も頼んでみようかな」
クラピカの言い方に少し拗ねたようにそう言うザックを見て、
クラピカは目を丸くし、そして、笑った。
「あーっ!すっかりすっきりしたけどすっかり日が暮れちまった!」
「それ早口言葉?」
「早くしねーとクラピカとザックがムーディなことをする時間になっちまう!」
「ちょっとキルア…」
「ていうか既にしてるかも?
だって簡単な手伝いだけだったはずなのに、まだ帰ってこねーんだもんなー。
ミトさんに髪切ってもらう約束してたくせによ」
「キルア!いい加減にしないと怒るよ!っていうか面白がってるだろ!!」
「おーこわっ。てか、俺もそろそろお前のバックアップばかりじゃなくて、
自分のお楽しみを見つけなきゃなー」
お決まりのように二人で騒ぎながら、港へ降りていく。
夕日があたりを包み、ウミヅルが鳴いていた。
オレンジ色に輝く海面が見える。
いつもよりも多い漁船が連なり、白い帆を風にはためかせていた。
まるで模型のように小さく見える行き交う人々と家々。深い色の木々が街に影を落とす。
ここまで聞こえてくる笑い声。誰かの人生をそこに凝縮したかのような景色。
―――この景色の中を。
ゴンは思った。
―――クラピカを連れて、歩けたらな。
けど、分かってる。
キルアの言う通り、自分から動き出さなきゃ、
自分の望む形で、クラピカと二人で歩くことはないと。
クラピカは自ら人の愛を求めるタイプではないし、
けれど、自分に好意を持ってくれる人には、好意を持って接する。
それはつまり、自分が友人の域を越えて接さないことには、
クラピカもまた、それを越えて接することはないということだ。
だからって、どうやらストライクゾーンにすら入っていないらしい自分をアピールするには。
「…どうすればいいのかなぁ〜」
「ん?どうしたんだよゴン、今度はゴンが俺のことをバックアップしてくれんの?」
キルアは、話の流れでそう解釈して返事をしたが、
ゴンの耳から煙が出ているのを見て、まずい、と思い、慌てて声を荒げる。
「おいゴン!ショートすんなよ、
まだザックとクラピカは出会って一日も経ってねーんだから、
悩んだり悲しんだりするのは手遅れになってからにしろよな!」
「て、手遅れになってからじゃ遅すぎるんじゃ…」
そうこうしているうちに、港についた。
まだ夕日が出ているのでだいぶ明るかったが、
あたりにはちらほら、街灯の明かりが灯り始めていた。
「さーて、二人はどこかね。まさかミトさんの言ってた青果店にまだいるとは思えねーけど。
ゴン、おまえの嗅覚でクラピカの匂いとか辿れねーの?」
「えっ、うーん、クラピカはレオリオみたいにコロンとかつけてないし、煙草も吸わないからなぁ。
吸っても水煙草くらいらしいし、よっぽど近くにいないと分からないよ」
「うーん、そっかー。手当たり次第探すしかないかな…」
そう言い、あたりに視線をさ迷わせた矢先、キルアの耳をとらえた声があった。
否、声というよりは、言葉だ。ザック。確かにそう言っていた。
「おい、ゴン」
「あ、うん、分かってるよ、聞こえた聞こえた」
致し方ないとはいえ、人の話を盗み聞きするような真似をすることに気が引け、
なんだかなぁ、と首を傾げながら、ゴンは耳を傾けた。
「…だめ、やっぱりケータイ繋がんない。ザック、まだあの女といるみたいね」
「どうすんのダニエラ、ザックをあの女にとられちゃうわよ」
「折角ザックとの仲を深めるためにこの旅行を計画したのに、これじゃ本末転倒ね」
気遣うその声とは裏腹に、そのダニエラという女を嘲笑するかのような色が含まれている。
キルアとゴンは、さり気なく、声のするほうに目を向けた。
ダニエラと呼ばれた女は、
そんなことまるで意に介さないとでも言いたげに、強い口調で、言った。
「まさか。ザックがあの程度の女を好きになるわけないじゃない。
物珍しいだけよ、そうじゃなきゃよっぽど趣味が悪いんだわ」
きつい女の物言いに、キルアは反吐が出る、とでもいうような表情で、舌を出した。
「ひっでーなオイ。まあ確かにあのダニエラって女、ちょーっと美人だし、
ちょーっと色気あるし、ちょーっと俺のタイプだけど、あんなの聞くと興ざめするぜ。
なあゴン、あんま気にすんなよ…っておい、ゴン?!」
振り返ると、既にそこにゴンの姿はなかった。
で、ダニエラたちのいるほうを見ると、やはりそこに、いた。
キルアは、あの馬鹿、と舌打ちをすると、慌ててそっちに走った。
ダニエラ、とその取り巻きのような女たちは、
突然目の前に、挑むような目をした少年が現れ、あっけにとられた。
しかし、そのうちの一人が、何かを察したように、意味ありげに微笑んで、言った。
「あーあ、この子もダニエラに一目惚れしたクチ?あんた、ホントにやるわよね」
「やだ、どうするのダニエラ、結構可愛い子じゃない」
「ちょっと何言ってんのよ、子供すぎるわよ」
「そんなのあと二、三年もたてば気にならなくなるわよ」
好き勝手言い合っている女たちに、ゴンはぎり、と奥歯を噛み締めた。
「…誰が、おまえみたいな女なんか好きになるか」
「…は?」
俯き、怒りに震える声で言った少年の言葉に、女達はぽかんと、口をあけた。
「…あの程度の女、だと?趣味が悪い?ザックがおまえじゃなくてクラピカを選んだのは当然だろ。
そんなことも分からないからザックに相手にもされないんだ」
ゴンは、相手を焼き殺すかのような目で女達を睨み、言った。
「取り消せ…!」
そのとき、女たちとゴンの間に割ってはいるようにして、キルアが現れた。
「はいはいはい、ごめんなさい、ごめんなさいね!
こいつ人違いしてるんですよ、まったくいつもこんなだから俺も苦労して…
あは、あはははは…」
取り繕うようにひきつり笑いをしながら、
キルアはゴンの腕を引いて、じりじりと後ずさった。
「失礼しましたー!!」
なにかのコントのように、そのままゴンを引きずりながら、
凄まじい速さでキルアはその場を走り去った。
あまりの速さに、残された女たちは、
呆然として、その後も暫く二人の噂話をしていた。
「後から来た銀髪の子、よくなかった?」
「ていうか無いでしょ、年下とか…」
あの女たちから十分距離をとったところで、キルアはようやく足を止め、ゴンを開放した。
キルアは軽く息をついて、隣で立ち尽くしているゴンを見て、また息をついた。
「おいゴン、むかつくのは分かるけどさ、いちいち熱くなんなよ、
ああいうバカ女、相手にしてたらキリないぜ」
「………ないのかよ」
「は?」
「キルアは悔しく、ないのかよ」
そう言って、顔を見せずに肩を震わせるゴンを見て、
キルアはふと、寂寞の念を胸に感じた。
が、唇を噛み締めて気を取り直すと、癖のように、また息をつき、言った。
「…そりゃ、悔しくないわけじゃねーよ。
俺だって、これでもクラピカのことは仲間として大切に思ってんだぜ?
それをあんなふうに、侮辱されりゃあさ…
けどさ、あいつらと俺たちが喧嘩したら、あの女たちぜってーザックに、
あの金髪の女の友達がそりゃもーひどくてあーでこーでって、
あることないこと吹き込むぜ。例えザックがそのことを信じなかったとしてもさ、
それで気まずい思いすんのはクラピカなんじゃねーの?
まあ、そうまでしてもクラピカからザックを引き離したいってんなら別だけど…
ゴンだって、あんま騒ぎ起こすわけにはいかないだろ、この島でさ」
「……うん。分かってるよ。そこまでして二人を引き離したいわけでもない。
それでクラピカが傷つくんなら、俺は……でも…」
ゴンは、ぎゅっと拳を握り締めた。
「でも…許せないよ…クラピカのことあんなふうに言われて…」
キルアは、震えているゴンの肩を見て、ふと微笑み、
水平線に沈んでいく夕日を見つめた。
「その情熱を、あの女たちじゃなくて、クラピカにぶつけられればいいのにな…」
明日はお祭りだ。
to be continued.
20081008
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